みなさまから頂いたシリアルナンバーに関したことや、年代特定の鍵となる情報を掲載しています。
ご意見、情報など有りましたらご遠慮なくご連絡下さい。
-分業制以前のハカランダモデル-
分業制以前のシリアル「438 KK」の情報をいただきました。
サイド・バックはハカランダで、ドレッドノートスタイルのモデルで、71年に購入されています。
(2022/7/10追記)
-YD-405モデル-
400シリーズはカタログでは404までですが、4055の型番の印字されたモデルの情報をいただきました。
シリアルは24625で黒印字なので、81年の製造になります。
サイド・バックはローズウッド、指版,、ブリッジはエボニでピックガードは黒、ポジションマークは少し大きめの白蝶貝です。
ネックシェイプは軽いXネック、ロッドはサウンドホール側で、全体的に同時期に発売された谷口楽器のオリジナルYD-305Hと同じ仕様とおもわれます。
(2022/5/16追記)
−70年前後のモデル-
1965年に川辺町に生産の拠点を移し、本格的に生産し始めます。この頃はまだYDシリーズの体制が確立しておらず、型番のないモデルもあります。
シリアルデータにあるS211もその一つです。今回そのオーナー様から画像を提供いただけましたので、資料として掲載いたします。
モデル名と仕様が決まり本格的に生産が始まったのは1970年に新工場が出来てからです。(2021/10/6追記)
ヘッド形状はRが大きい | ボリュートはありません | 3Pローズバック | 印字のサイズは大きい |
-谷口楽器オリジナルモデルの情報-
谷口楽器はS.YAIRIを多く販売していた楽器店で、オリジナルモデルもありました。
マーチンのM-38モデルとギャラガーモデルです。
76年頃から79年頃まで断続的に販売されました。
−M-38モデル−
1979年に谷口楽器のオリジナルモデルとして発売されたTM-38は、マーティンのM-38(後に0000-38に変更)のコピーモデルで、厚めのボディのAタイプと薄めのBタイプがありました
今回、オーナー様から頂いた情報は1979年に谷口楽器で購入されたM-38というモデルのものです。
このM-38は、TM-38と同じ0000−38モデルですが、谷口楽器に広告などでは見かけないモデルです。TM-38との違いは0000−38の特徴であるサイドのネック部分のバインディングの有無とバック材が単板か合板の様です。
価格はTM-38が10万円で、M-38は6万円となっています。
このモデルがなぜ広告されなかったのかは、オーナー様も疑問に思われていらっしゃいました。
頂いた情報には、プライスカードや保証書をはじめ当時の谷口楽器の小冊子も添えられていました。
(2017/10/17追記)
━ギャラガーモデル━
ギャラガーモデルは76年頃から発売されていたようです。
最初に頂いた情報がこちらです。
シリアルの情報と共にギターの素性に付いてお問い合わせが有り、携帯で撮った画像が添付して有りました。
この情報をいただくまで、全く忘れていたモデルです。私が在職時に携わった事が有りますので、77〜79年頃の製造と思います。
スポット生産かショップオリジナルだったのかは分かりませんが、仕様は302と同等だったと思います。
アジャスタブルロッドの位置や型番などは、情報を頂いておりません。(2005/10/24 追記)
上記のコメントは、谷口楽器のオリジナルモデルの確証がなかった時のものです。
次に頂いた情報がこちらです。
以前にもギャラガーモデルの情報を頂きましたが、またギャラガーモデルの情報を頂きました。
今回のギターはシリアルが5606で、76年2月に、谷口楽器で購入されたそうで、当時の定価は12万円だったそうです。
仕様はローズ2Pバック、サイドで、ポジションはヘキサゴン、シャラー・ゴールドペグ、ヘッドロゴは前回のギターと同様のSとYのみです。
価格からオール単板モデルと思われます。
前回のモデルは今回と同じローズ2Pバックですが、ドットポジションや国産ロトマチックペグなどの仕様から、サイドバックは合板と思われます(2011/6/4追記)
シリアル 5606 | 以前情報を頂いたモデル |
シリアル5803のモデル
全体 | TOP | SIDE | BACK |
HEAD | HEAD | 指板 |
12弦モデル ギャラガー・12
このモデルは最近お寄せ頂いた情報です。
シリアルナンバーとトラスロッドがサウンドホール側に在りますので、78年製です。
仕様は302と同様でトップスプルース単板、サイド・バックはローズです。
79年発行の谷口楽器の小冊子TOWN BEATの記事です。
1979年9月発行 左下に12弦モデル | 1979年5月発行 右側2本がM-38モデル |
(2021/5/24追記)
-晩年に製造された特注品の308-
このギターを手に入れたオーナー様から情報をいただきました。
シリアルから1982年頃の308ですが特徴的な仕様のモデルです。まずは画像をご覧ください。
特徴的なシングルヘッド、12fジョイント、幅広のネックとかなりこだわった仕様となっています。
通常12fジョイントのギターではボディ上部が12fまで延びていますが、この308は指板が12fの
位置までボディに食い込んでいる形になっています。
その為、サウンドホールとブリッジも少し下がった位置になっています。
想像ですが、12fジョイントのボディ型が無かった為このような形になったと思われます。通常の
308と並べた画像もお送り頂きましたので、見比べてみるとその違いがよくわかります。
(20176/9/19追記)
-ギターに残されていた作業指示のメモ書き-
シリアルナンバー881のYD-303のオーナー様から、ちょっと面白い画像を送っていただきました。
トップのブレイシングに写真のような文字が書かれたマスキングテープが、そのまま残っていました。
駒下三角は、ブリッジ部分の補強の薄い板の事で、トップの裏側に張られています。この駒下材には主にローズやメイプルが使われますが、この303にはハカランダが使われたという事ですね。
本来は作業時に剥がされるのが、残ってしまった珍しい例ですね。(2016/3/27 追記)
−YD-303 #5244−
シリアル情報を頂いた際に「サイドの木目が変わっているのですが」と言う言葉が添えてあったギターです。
そのサイドです。
最近の個人製作家や一部の高級ギターでは、敢えて白木の部分を生かすギターも目にしますが、当時はこの様な白木の部分は着色するのが一般的で
このギターのように白木のままで製品にすることはほとんど無かったと思います。
そういった意味で珍しいギターだと思います。(2013/5/10 追記)
−S.YAIRI製ローデンについて情報を頂きました−
アメリカからS.Yairi製と言われるローデンL34 1984年を購入された方から、ローデンに関する情報を頂きました。
アメリカから取り寄せる際に使用材のマホガニーがワシントン条約に抵触すると云う事で、ローデンにメールを送り条約規制以前のもと言う証明書を入手した
そうですが、その際にS.Yairi製のローデンについて質問した所、1980年から85年までの間にS.YairiでOEMされたローデンギターは約5,000本だったと、対応し
た奥様のフロレンスさんのメールに記されていたそうです。
ローデンのOEMが始まったのが76年だと記憶しています。
このローデンのOEMの話を持ってきたのが、S.Yairiを海外に輸出していた栄工社でした。
80年から85年までに関しても栄工社を介していたそうです。
S.Yairiは82年に倒産していますので85年まで製造していた事に疑問がわきますが、ひとつの仮説が思い浮かびます。
S.Yairiの海外モデルを生産していた上之保工場で生産していた可能性です。
私の在職時は川辺工場で生産していましたが、その後上之保工場でも生産した可能性はあります。
上之保工場は経営上、別会社だと記憶しています。S.Yairiが倒産後も生産は可能です。
あくまで私の私見ですので、確実なことは判りません。(2012/12/17追記)
−このモデルの情報求む!−
このギターはオーナーさんが80年の冬に川辺工場で直接オーダーしたものですが、ボディシェイプとヘッドの形状は写真のカッタウェイとノンカッタウェイのモデルがすでに有ったそうです。
オーナーさんはカッタウェイモデルを選択し、指板とポジションマークも何種類か提示された中から決めたそうです。
ボディやヘッドのデザインが既に在ったことから、このモデルに何らかの型番があるとオーナーさんはお考えの様で、当店へお問い合わせがありました。
私はこのデザインのギターはまったくの初見でオーナーさんの期待に応えることが出来ませんでした。
このギターの仕様ですが、トップはスプルース単板、サイドはローズ単板、、バックはセンターハカランダの3P単板です。
ボディサイズと形状は、ローデンと同です。また、トップのブレイシングの形状と配置もローデンと共通です。トラスロッドはサウンドホール側に出ています。シリアルは黒の印字で「221」とあります。
このギターに関して何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ当店へご連絡いただければと思います。
モデル資料集に、詳細画像があります。 (2012/7/14追記)
━トップブレイシングの印字━
最近頂いたシリアル情報に、Xブレイシングでは無くネック側のブレイシングに「M」の印字が有るギターがありました。
そのギターはYD-305 シリアル10675で、この頃のギターには「77 04」などの印字がXブレイシングにありますが、このギターにはそれが無くネック側
のブレイシングに「M」の印字が有ります。
「M」の意味については、まだ分かっていません。(2011/5/20 追記)
シリアルナンバーについての考察をお寄せいただいたオーナーさんから、308のロゼッタについてのリポートを頂きました。
以下、原文のまま掲載いたします。(2011/1/29 追記)
YD−308の仕様変遷について
T)トップの貝装飾を囲むセルについて
年式ごとに色や太さが異なっています。4種類あります。
ただし、バックストライプの方は例外で、トップは全て黒であるのに、バックストライプは白である76年製もあれば、バックも規則通り黒の76年製
もあるので、バックストライプの貝装飾の枠の色は個体ごとにかなりバラつきがあり、年式特定の鍵にはなりません。
@
1972年〜1977年:ロゼッタもトリムも共通で、細い黒枠。
A
1977年後半〜1979年初頭:ロゼッタは細い黒枠のままで、トリムは細い白枠に変更。
B
1979年半ば:ロゼッタは太い白枠に変更され、トリムは細い白枠のまま(Martinのスタイル45と同じ)。
C
1979年後期〜1982年:ロゼッタは太い白枠のままで、トリムも太い白枠に統一される。
1972年〜1977年 | 1977年後半〜1979年初頭 | 1979年半ば | 1979年後期〜1982年 |
カタログでは@とCのみ確認できます。AとBは数も少なく、@とCの特徴が半々なので過渡的な仕様かと思われます。
また、@〜Bの頃は、セル部分を除く貝装飾自体の幅は2ミリ弱と細めですが、Cの仕様では貝装飾自体の幅もかなり太く2.5ミリほどもあり、Morrisの高級
機種(W-300,250,200,150など)と同様の豪華さです。そして、この頃には、本格的にMorrisギターの製作も請け負っていたので、Morrisの仕様の影響をかなり受けていると思われます。
ちなみに、Cの仕様になると同時に、(1)指板エンドのバインディングが別ピースになる、(2)最終書体の装飾文字縦ロゴになる、(3)ネックヒールの
キャップにも白黒のセルが入る、という大きな仕様変更も見られます(下出しロッドになるのはBの途中からで、割れ止めが板になるのはCになってしばらく経ってからです)。
━ヘッドロゴの変遷━
初期の頃のギターに見られた「YAIRI」や「SADA」、「Yairi Gakki」の画像と考察を少しします。
67年 本社工場製 | 68年と思われる。ネックブロックに特徴有り。422084の印字とその下に30の印字 | 70年と思われる。シリアル No.688 K.M | 71年のシリーズ化以降のロゴ |
川辺工場が出来たのが66年で、300シリーズが始動する71年までの間に使われたと思われます。
その間は名古屋本社と川辺工場両方で生産されていた様で、「Yairi Gakki」のギターはシリアルもその印字も川辺製のギターとは明らかに違います。
またこの頃はクラシックギターの生産が主でしたので、フォークギターに関してはシリーズ化までの間、仕様や技術的にも試行錯誤をしていた様に思われます。
しかし、シリアルデータの2つ目にあるシリアル141 K.M(モデル資料集に画像があります)のロゴはシリーズ化以降のロゴです。
60年半ばから71年頃までのデータが少ないので確定的な事は言えませんが、あるオーナーさんの購入の経緯などからシリーズ化直前までは、「YAIRI」が使われていた様です。
「YAIRI」、「Yairi Gakki」のギターはモデル資料集に追加する予定です。(2010/8/18 追記)
━シリアルナンバーの考察━
以前にもシリアルの考察を送って頂いたS.Yiriのオーナーさんから、シリアルやヘッドロゴ、シリアルの印字など
の大変興味深いレポートを送って頂きました。
是非、皆様のご意見も伺いたいので、ご本人の了解のもと掲載させて頂きます。尚、大変ボリュームがあるリ
ポートですので、今回はシリアルのロジックに関する部分を要約して掲載します。
シリアルのシステムに関して
1970年:西暦末尾が0なので省略され、その年の通し番号のみの3桁で示される。
1971年:西暦末尾が1なので、1とその年の通し番号の4桁で示される。
1972年:西暦末尾が2なので、2とその年の通し番号の4桁で示される。
1973年:西暦末尾が3なので、3とその年の通し番号の4桁で示される。
5桁のシリアルは最初の数字は西暦末尾の3で、その次の数字は月の数字の1〜12で、その後はその
月の通し番 号で示される。
1974年:73年のシステムを踏襲。受注生産モデルや高級モデルはアルファベットで年月が示されるシリアルが使
用される。
例:YD-307 DJ 70 Dはアルファベットの4番目で西暦の末尾4を示し、Jは同じく10月を示す。70はその
月の通し番を示す。
1975年:73年のシステムを踏襲するが、10月〜12月は2桁目のみを表示し(10月は0、11月は1、12月は 2)1月、2
月と区別する為に「ー」で繋ぎ月の英語の頭文字を付けている。
例:YD-304 5010-O 5は西暦末尾、0は10月の一桁目の0、10は通し番号、OはOctoberの頭文字。
高級モデルに関しては、74年のアルファベットのシステムが使われる。
例:YD-308 EA 55 Eはアルファベットの5番目で西暦の末尾5を示し、Aは同じく1月を示す。55はその月の
通し番号を示す。
1976年:殆ど75年と同様であるが、年の途中でアルファベットのシステムは年月を表す数字と通し番号を「ー」で結んだ
システムに変更している。
例:YD-306 69-159 6は西暦末尾、9は9月、159は通し番号
1977年:1月頃までは76年と同様、Xブレイスに年月をスタンプした2月頃からはシステム不明。尚、「 . 」やO,D,N以外
のアルファベットが使われたものに関しては、不明である。
以上が考察の要約です。
リポートには考察の根拠なども書かれていますが、割愛致しました。
ここからは私の意見と補足です。
75年のシリアル5143Mや5163Wの様に、このシステムの考察に当てはまらないシリアルも存在します。
また、69-324Dなど通し番号ではない個体がある(投稿された方は、それまでの生産本数から月産本数は300本は
いかないと考えられています。)と書かれていますが、77年から78年が生産本数のピークだったと記憶していますの
で、76年には月300本は越えていたと思います。
75年や76年のシリアルで「6204 D」や「6941.D」などは、「ー」と同じ意味と思っています。この頃のシリアルの印字は
事務などで使う一般的な回転ゴム印を使用していたので「ー」を間違えたか使い忘れたかしたのだと思います。
77年1月以降は、西暦末尾や月数字を使わない単純な通し番号ではないかと考えます。
(2010/4/11 追記)
━トラスロッドの調整ナット位置━
78〜9年に行われたトラスロッドの調整ナット位置変更は、川辺工場製のモデルのみで、上之保工場製の
YF-210、YD-401はそれ以前からサウンドホール側に出ています。
シリアルデータ集でサウンドホール側(下だし)のシリアルの後に、1F下のシリアルが有るのはこの為です。
(2009/10/3)
━輸出モデルのインナーラベル━
年代や輸出業者の違い、輸出先でラベルも変わるようです。(2010/9/20)
71年 YW-40 | 76年 No.720 | 84年 L-5 | 71年 302 |
新たにラベルの情報を頂きました。
1969年製のフラメンコギターに貼られていたラベルです。上のラベルにある71年の302と同じデザインですが、ラベル下部に余白がありそこに「Sadao.Yairi」のサインと「34」とシリアルが入っています。(2013/1/14追記)
━谷口楽器オリジナルモデルと楽器フェアモデル━
こちらのリポートで400シリーズのプロトタイプではないかと紹介したギターとギャラガーモデルに関して情報を頂き、
どち
らのモデルも谷口楽器のオリジナルモデルである事が解りました。
シリアルナンバーが#5603のヘリーングボーン仕様の型番の無いモデルの情報を頂きました。
このギターはサイド・バックはローズでバックは2ピース単板、ポジションマークは5フレットからという仕様76年に発売されたモ
デルと同じ仕様です。
谷口楽器がオリジナルモデルとして販売したのは、下記にある様に76年ですがシリアルからこのギターは75年製と考えられます。
なので、同じく下記の306などと同じ75年楽器フェア用のモデルではないと推察できます。
また、このすぐ下の記事のカスタムモデルと思われる306に付いても情報を頂きました。
400シリーズのプロトタイプと紹介したモデルは、76年頃にヘリングボーンモデルと言うモデル名で販売されており、価格は
100,000円でした。
ギャラガーモデルも同じく76年頃に120,000円で販売されていました。仕様は、ローズの306と同仕様でした。
どちらのモデルも当時のギター音楽関係の雑誌に、谷口楽器の広告として掲載されていました。
アバロンインレイの306は、75年10月10日から12日に東京九段の科学技術館で開催された楽器フェアのショーモデルと
思われると言う事です。
その根拠として情報を提供していただいた方が所有する308が、知人が当時楽器フェアで見た308と同じ仕様(ヘキサゴン
ポジション、サイドもアバロンインレイ、ヘッドロゴの変更)だった事から、この308のシリアルと非常に近い306は、楽器フェ
ア用のショーモデルではないかと思われるとの事でした。
当時、谷口楽器と三木楽器はS.YAIRIの販売では双璧を成しており、オリジナルモデルの販売も積極的でしたので、その辺り
をもう少し知れべれば良かったと思っています。谷口のオリジナルモデルには他に、M-38モデルなどもありますね。
ショーモデルに関しては、308と306のシリアルからするともう1,2、本同様なショーモデルがあっても不思議ではありませ
んね。
(2009/3/1)
━2台のカスタムモデル ━
ショップオリジナルの302と個人オーダーと思われる306です。
どちらも基本仕様はそれぞれのモデルと同様ですが、インレイ、ヘッドロゴ、ポジションが変更されています。
左:YD-302-N 80年製 右:YD-306 75年製
どちらも縦ロゴですが、302は貼り貝です。また、通常どのモデルもヘッドはマッド仕上げですが、この302は
グロス仕上げです。ヘッドの形状も302の方が少し細身で角のRもシャープです。また、ピックガードの形状も違います。
どちらのギターもモデル資料集に詳細画像があります。
YD-302-N パーフリングとポジションはアバロン柄のセルです。 |
YD-306 インレイはアバロンです。 |
(2009/1/8)
━ S.YAIRI製のARIA ━
S.YAIRI製のARIAギターの、情報を頂きました。
早速、教えていただいたサイトを見てみると、ギターの画像と説明がありました。
そのギターは、ARIA A35Rと言うモデルでボディスタイルはドレッドノートで、サイドはローズ、バックはローズ・ハカランダ・ローズ
の3P(サイトの説明ではサイドバックは全てハカランダとなっていますが、バックのセンター以外はローズだと思います)です。
バインディングは白セルで指板には有りません。また、ヘッドにはトラスロッドカバーが付いています。
ボディ内部にARIAのラベルが有り、「BY SADA YAIRI」と書かれています。また、画像は有りませんがS.YAIRIの3Pモデルに貼っ
てある木製のラベルも貼ってあり、ネックブロックには「S 295」の印字が有ると書かれてます。
全体の仕様、シリアルなどから、60年代後期から70年代初期の製造と考えられます。因みにシリアルデータ集にある型番表記の
無いS 115は、やはりこのモデルの試作品ではないでしょうか。
ARIAのOMEをしていた事には驚きました。(2008/10/30)
━ ハカランダ3PバックのYD-304 ━
バックが通常のセンターメイプルでは無く、センターもハカランダの304の情報を頂きました。
シリアルは22239ですので、後期のモデルです。シリアルデータ集にあるシリアル22184の304は、2Pバックです。
仕様変更が行われたのか、この304が特別なのかはデータが少ないので判断が付きません。(2008/9/29)
その後、シリアル情報を頂き20000番台の同様の仕様の304がありましたので、特別なモデルではないと思います。
ペグはヤイリゴールドです | ハカランダ3Pバック | 型番とシリアル |
━ シリアルナンバー10318のYD-302のトップブレイスの印字 ━
当シリアルデータ集にあるシリアルナンバー7470から10598までのギターには、トップのxブレイシングに「77
02」などの製造年月日
と思われる印字が有りますが、このギターはそのシリアルの範囲なのですが印字に表記と場所が違います。表記は「76」場所はxブ
レイスではなく指板側のブレイスに印字されています。この「76」が製造年を現わすと考えるとXブレイスに印字の有るギターと辻褄が
合わなくなります。(2008/7/20)
━ シリアルナンバーのロジックに付いての考察 ━
シリアルデータの情報を頂いた方からシリアルナンバーに付いて下記の様なメールを頂きました。
ご本人の了解の下、掲載させていただきました。(2008/2/4)
私が思うにシリアルナンバーは大きく3つに分類できると思います。@は最も一般的な1976年頃まで採用されている
「西暦末尾の1桁プラス通し番号」(但し1970年は0が省略されて通し番号のみ)、AはSヤイリレポートにも言及されて
いる1976年末から1977年最初期に採用されている「数字―数字」、―の左で西暦末尾と月を示すタイプ。そして今回、私
が発見したのは年度推定となっているBのタイプで1974〜1976年のYD-307,308のみに採用されている「アルファベット
数字」です。数字は恐らく通し番号でしょうが、アルファベットは西暦末尾と月を規則的に変換したものと思われます。
以下の表を見て下さい。
|
西暦 |
月 |
A |
1971(実際は存在しない) |
1 |
B |
1972(実際は存在しない) |
2 |
C |
1973(実際は存在しない) |
3 |
D |
1974 |
4 |
E |
1975 |
5 |
F |
1976 |
6 |
G |
1977(実際は存在しない) |
7 |
H |
1978(実際は存在しない) |
8 |
I |
1979(実際は存在しない) |
9 |
J |
1980(実際は存在しない) |
10 |
K |
1981(実際は存在しない) |
11 |
L |
1982(実際は存在しない) |
12 |
このように考えると、シリアルデータにあるDJ 70は1974年10月製、E 109は1975年製、ED 140は1975年4月製、EF 70は1975年6月製
EG 182は1975年7月製、FA 46は1976年1月製、FA 48は1976年1月製、そして私のYD-308はEI
81なので1975年
9月製ということになります。これで、DJ 70を1974年12月に購入したこと、EG
182を1975年に購入したこともつじつまが合
います。しかも、画像で紹介されている型番がふたつあるYD-307のシリアルがEE 61でラベルに1975年と書かれていること
からこのロジックはほぼ間違いないでしょう。
1974年製の「西暦末尾の1桁プラス通し番号」のYD-308もデータから確認できますが、恐らく、YD-307,308が発売された
初期の頃は受注生産であったのでシリアルを変則的なものにしていたのかもしれません。そして、1977年頃からその他の型
番と同じものに戻したものと思われます。
━ YD-308 #20314のサイドの割れ止め ━
このギターの情報を頂いた際のオーナーさんとのやり取りのなかで当初は割れ止めがないと思われていましたが、よくよく調べてみると、 とても特徴的な割れ止めが使われている事が分かりました。 オーナーさんの了解の下、画像を掲載しました。 通常、割れ止めは幅1〜2センチのサイドと同じ材料の帯状の薄板か、テープ状のものが間隔をあけて貼られています が、この308の割れ止めは、幅が15〜20センチほどの幅の広い1枚板がくびれ部分を中心に貼られています。この様な割れ止めは、ヤイリ以外でも見た事がありません。 元々、ポジションマークや指板最終フレットのインレイなど特注品と 思われる部分が有るギターですので、この割れ止めの仕様もオーダーだったのかもしれません。(2006/12/3) 後日、YD-308 #21095のオーナーさんから「私の308も同じ幅広の割れ止めです。」とメールを頂きました。 どうやら、この幅広の割れ止めは、この頃の308では標準仕様のようです。(2006/12/27) |
━ 製造年特定のヒントとなる情報その2 ━
シリアル情報を頂いた方の購入経緯の中に、シリアルと製造年の関係のヒントになる一文が有りましたので、ご本人の了解の下、原文を掲載いたします。(2006/7/18)
はじめまして、私はYD-304を高校2年生(1977年)の7月に新品で購入し、現在も所有しております。
その時の楽器屋さんの店長が、@店頭にある現物(店頭に2年程売れずに飾ってあるので)なら割引価格に専用ハードケース(¥16,000-)をサービスしますが、Aメーカーからの
取り寄せならハードケースは実費とのことでした。 @はトップ中心の左右対称に木目がきつく出ており、店長さんは処分したそうで総額¥68,000-で購入しました。
上記ゆえに私のYD-304は1975年前後の製造と思われます。シリアルナンバーは「5682 S
印字黒」です。
━ 珍しいサンバーストのYD-303 ━
チェリーサンバーストのYD-303の情報を頂きました。
シリアルは1701ですので、初期のモデルです。私の在職時を含め色物は覚えがありません。(2006/6/19)
外観 | バック |
最終フレット型番 | シリアル印字 |
新たにチェリーサンバーストの情報をいただきました
。
今回のサンバーストモデルも同じくYD-303でシリアルは2914、ハカランダ3Pバックモデルです。
シリアルが近いことから、このころは何本か製作されたものと思われます。
━ 同一シリアルの304と302 ━
以前よりみなさまから頂いた情報に、「5121」と「5121 N」の様に同じシリアルのギターの存在が数例ありましたが、今回全く同じシリア
ルナンバー「6614」の304と302が有りました。
偶然にも、どちらのギターも当店に修理で持ち込まれたギターです。以前からあるアルファベット有り無しのシリアルの場合は、意図的
に付けられた可能性が高いと思いますが、今回の場合はケアレスミスでしょうか。(2006/4/16)
YD-302 | YD-304 |
━ 製造年特定のヒントとなる情報 ━
YD-304(シリアル6111)のオーナーの方の情報にS.Yairiからの手紙(オーナーの方が304購入後、矢入に問い合わせをした返事)
がありその中に、「このギター(YD-304 シリアル6111)は、1976年1月の生産です。」と書かれていました。
この事から、基本的にはシリアルの最初の数字は西暦の一桁目というロジックではないかと考えられます。(2005/12/18 追記)
━ YD-305H(谷口楽器オリジナルモデル) ━
シリアルデータにあるYD-305Hの画像です。
仕様は、下のシリアル「71-21」とほぼ同様です。異なる点はアジャストロッドが下出し、ピックガードがべっ甲柄の2点です。
トップのブレイシングは、ノンスキャロップでトップとバックが単板、ペグはシャラークロームです。(2005/11/3 追記)
正面 | ネックブロック、アジャストロッド | バックブレイス | トップバインディング |
ピックガード | バックセンターストリップ | ヘッド | ポジションマーク |
━ 400シリーズプロトタイプ? ━
シリアルデータをお寄せいただいたシリアル「71-21」ですが、型番が無く、ポジションマークはスノーフレイク、バインディングはヘリンボーンと一見402の様ですが
ピックガードは黒で、バックは2P単板と仕様が異なります。
所有者の方によると、購入は77年で購入の際に店員さんから「ヤイリの12万のモデルと同等のグレード」と説明されたそうです。
ひょっとしたら、400シリーズのプロトタイプかもしれません。(2005/10/24 追記)
━ 矢入貞雄フェア ━
シリアルデータをお寄せいただいた方から、データと共に「矢入貞雄フェア」招待状の画像を頂きました。
フェアの日時は1974年6月1日(土)〜2日(日)、京都十字屋楽器三条店で行われました。
内容は、ギタークリニック(愛器の健康診断)、調整とギターの展示即売だったそうです。
私の在職時77〜8年頃にも、この様なクリニックはありましたが、社長が行う事はなく工場長が行っておりました。
わずか3年前まで、社長が行っていたのは少し驚きです。 (2005/7/24 追記)
━ 保証書の会社名 ━
シリアルやギター本体の特徴とは直接関係は有りませんが、たまたま、当時の保証書が残っていたギターを目にする気会がありました。
71年の304の保証書と78年頃の305の保証書です。71年頃は、会社名が「矢入ギター製作所」で、78年頃は「矢入楽器製造株式会社」と表記してあります。
工場が、川辺に移った時に社名変更したのではないかと思います。 (2005/6/18
追記)
75年製造の304の保証書の会社名が「矢入ギター製作所」との情報を頂きました。
これにより、社名変更は75年以降となります。(2005/8/12 追記)
70年代のミュージックトレード誌の記事によると、昭和10年に創業し1956年に法人となり「矢入楽器製造株式会社」に社名変更したとありました。
社名変更後何年も旧社名を使ったのは、混乱を避けるためと(保証書やタグの)在庫があったためと推察します。(2013/5/4追記)
左:71年頃の保証書 右:78年頃の保証書 |
みなさまから頂いた情報を調べてみると、製造年度で型番やシリアルナンバーの印字位置や色、ブレイシングの形に違いが有ることが分かりました。
指板最終フレットに型番刻印 |
シリアルナンバー茶印字 74年YD-304 #4849 |
シリアルナンバー黒印字 75年YD-304 #5207 DS |
型番、シリアル同位置印字 80年YD-302 #19818 |
シリアルナンバー青印字 81〜82年N.Y CUSTOM |
1〜4 番が全て縦長の山形 | 1〜2番が縦長山形、3〜4番が蒲鉾型 |
1〜2番が縦長で、断念が三角形 | 左の同じギターの3〜4番は、三角形ではありません |
76年以前のロゴ Sの位置に注意 |
76年以降のロゴ | ヘキサゴンポジションで旧書体 YD-308 #18633 |
80年以降のロゴ |
縦ロゴギターでは、ロゴの位置と書体で、年代が特定できそうです。
これ等の事から、
製造年度 | 型番及び印字 | アジャスタブルロッド |
74年までの製造 | 指板最終フレットに型番、シリアル印字は茶色 | 1フレット下 |
75年製造 | 74年までと76年以降の特徴が混在 | 1フレット下 |
76年以降 | センターブロックに型番、シリアルを黒印字 | 1フレット下 |
79年以降 | センターブロックに型番、シリアルを黒印字 | サウンドホール側 |
バックブレイスに付いては、仕様変更が度々行われている様で製造年を判断するには難しいと思われます。
━ シャムガキの303 ━
YD-303は、3度ほどサイドバックの仕様変更が成されています。74年までは、3Pハカランダバック、75年は、74年仕様と2Pハカ
ランダバック、76年からは2Pハカランダバック(当時のカタログでは、78年のカタログまで確認)、それ以降は、シャムガキ2Pバック(82年カタログ)です。
78年以降のシャムガキの木目がハカランダの木目と似ている為、76年以降の303のオーナーの方から多くの問い合わせを頂きました。
バック | ヘッドロゴ | バックストリップ |
上のYD-303は、79年頃に購入されたもので、シリアルは19146です。特徴は、ヘッドのロゴがデカールではなく貼り貝である事と、バックストリップが白黒のチェッカーではない事です。
76年以降の2Pハカランダ303かシャムガキ303かは、木目で判断する事は難しいと思いますので、この2点で判断するとよいと思います。